職種別にみる理想とのギャップ「介護職の場合」

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新人介護職員は利用者との関係に苦しみます

新卒で介護職員を目指す人や転職を考えている人は、介護職員になると理想と現実のギャップに苦しむことが多いことを知っておきましょう。新卒で看護職の仕事を始めたのに数か月で離職してしまう人もいるほどです。
介護職の仕事でいちばん理想と現実のギャップに苦しむ場面は、「利用者との人間関係」についてです。介護職員を目指す人に対して、学校や世の中は「介護職の仕事は、高齢者の役に立つやりがいのある仕事」だとアピールします。中でも「お年寄りからありがとうと感謝される喜び」というやりがいをアピールすることが多いです。実際に介護職を始めようと思う人は、自分の祖父や祖母との温かい関係をイメージしてしまうかもしれません。自分の祖父や祖母と温かい関係を築いたように、介護職員として利用者と同じような関係を築こうと思うはずです。

仕事で高齢者と接することの辛さ

優しい高齢者と温かい関係を築こうと思い介護職の仕事を始めると、いきなり理想と現実のギャップに苦しむことになります。介護の利用者は、介護職員のことを自分の孫のようには思っていません。「お金を払っているんだから、その分は働いて当然だ」と思っている人が少なくありません。心のこもったサービスをしたつもりでも、「お金を払っているんだから当然だ」と思われてしまうこともあります。
中には介護職員を召使いのように思って、顎で使おうとする人もいます。また認知症が進行している人とは、正常な人間関係を築くことすら難しくなります。このような現実を知ることで、温かい人間関係に包まれながら仕事をしたいという介護職員の思いは打ち壊されてしまいます。「あまりにも優しすぎる高齢者のイメージ」が、介護職の離職を増やす要因になっていると言えるでしょう。

思ったよりも厳しい仕事にギャップを感じます

介護職の仕事は、覚悟をしていても大変な仕事です。例えば寝たきりの利用者の身体を動かすのはとても大変です。必要な介護技術を身につけるまでは全身が筋肉痛になるような力仕事をすることになります。またトイレ介助や入浴介助は、若い人にとって耐えられないような汚い汚れや排泄物と向き合う仕事です。それでも優しい高齢者が相手なら愛情がわきますが、召使いのような扱いをされる中では作業がより辛く感じるでしょう。また介護職の現場は人手不足気味ですので、1人の介護士がする仕事が多くなります。必要最低限の介護をこなすだけでも勤務時間内ギリギリに間に合うかどうかという感じです。とても丁寧な看護などできず、利用者に寄り添うような介護をイメージしていた人にとって理想と現実のギャップが大きいでしょう。利用者に愛情を感じられない状態でこのような過酷な労働を続けられるか、自信がなくなってしまう人も少なくありません。